さくら学園のまわりの散歩道にはオオイヌノフグリやホトケノザ、梅の花など色々な花々が咲き始めています。また、さくら学園の皆さんが植えたチューリップは芽を出し、ゆり・ふじさんが花とみどりの楽校事業で植えたプランターのお花がたくさん咲き、春を伝えてくれています。
新型コロナウイルスやロシアの軍事侵攻など、ニュースを見れば心が重くなる情報が連日流れていますが、目の前の子どもたちを見れば、明るく活き活きと日々の生活を楽しみ、成長を遂げています。特に、今月行いました音楽発表会での子どもたちの姿に、今年度の大きな成長を感じました。下のクラスの子どもたちは、人前に立つと、固まっていましたが、お客様の前で歌ったり楽器を演奏できるようになりました。上のクラスの子どもたちは表現力がつき、クラス全体が調和を成して音楽を作ることができるようになりました。
最近、数学者の岡潔先生の本を読みましたが「情緒」というものを大切にされていらっしゃいました。「情緒」とは「野に咲く一輪のスミレを美しいと思う心」だと書かれていました。子どもたちはこの「情緒」が豊かだと思います。素敵な歌をもっと歌っていたい。咲いている花、作った折り紙、ふと書いた手紙の字、友だちが着ている洋服、石、落ち葉…子どもたちが美しい、素敵だと思うものを挙げればきりがありません。
岡潔先生は昭和天皇に「数学の研究はどうやってやるんですか」と問われて「情緒の力で致します」と答えたそうです。
子どもたちは、微妙に変化する四季を、日々五感を通して感じ、その中で美しさを感じたり少しの変化を喜ぶ中で育まれるように思います。その育まれた情緒によって素敵な音楽発表会になったと思います。
この園はスズキ・メソードを始められた鈴木鎮一先生の教えにあります「人は環境の子なり」という言葉を大切にしています。
園のすぐ北側には操山があり、歩いてすぐの場所に池田藩の菩提寺である曹源寺があります。情緒を育む環境が見事に揃った場所だと思っています。
どんなに時代が変わったとしても、四季折々の動植物の変化を喜び、美しい絵や音楽や字などの芸術から心に何かを感じ、探求することを続けてほしいと思います。
園長 尾曽越 桃子