さくら学園は、自分の考えや気持ちを自分の言葉で発することを大切にしています。
一番下のクラスは1歳6ヶ月。最初は手が出たり、泣いたりして気持ちを表現していますが、少しずつ言葉にすることができるようになっていきます。その過程で重要なのが、周りの言語環境です。どんな言葉をどのくらい耳にするのか。また、自分が言葉を使う必要性がどれだけあるのか。つまりインプットとアウトプットの環境です。
集団だと、なんとなく視界に入ってきたまま、雰囲気で行動する子どももいますし、言葉ではなく表情で相手に分かってもらう方法を取る子どももいます。それを言葉にすることで、半無意識的なところから意識をはっきり持ち、思考することができます。
さくら学園の集団生活では、1対数人~1対十数人という形になります。幼児が集団で人の話を聴こうとする力は集団の人数が多ければ多いほど下がる(これは大人でもそうですね)ことを感じます。
日本はインプットの多い教育方法が取られていましたし、今も割合的には多いように思います。また、先生と子ども一人が言葉を交わすアウトプットする機会が幼少期にはとても重要だと思いますが、人数が多い集団だと現実的に難しいと感じます。
日本と海外の保育者1人あたりの保育人数は以下のようになっています。
1歳 | 2歳 | 3歳 | 4歳 | 5歳 | |
日本(保育園) | 6 | 6 | 20 | 30 | 30 |
日本(幼稚園) | 35 | 35 | 35 | ||
ヨーロッパ | 3 | 4~5 | 10~17 | 10~17 | 10~17 |
アメリカ | 4 | 6 | 8 | 8 | |
オーストラリア | 4 | 5 | 10~11 | 10~11 | 10~11 |
カナダ | 8 | 8 | 8 | ||
ニュージーランド | 10 | 10 | 10 | 10 | |
また、OECDが2018(平成30)年に初めて実施した国際調査の中で、多くの参加国の保育者が、「子どもの話し言葉の技能」を高く価値付けている一方で日本は低い数値を出しています。
これからの時代、言語化し相手に伝える力は一層必要な時代になると思います。また、集団の中でなんとなく過ごすのではなく、集団でも自分の個性や役割を分かって行動し、個人でも自分のやりたいことややるべきことを分かって行うことができる人が輝く世の中になっていきます。そのために幼少期にできる言語環境を作りたいと思っています。