5月はぐんぐん気温が上がり、毎朝の朝礼前に増やし鬼をするとTシャツを脱ぎ、ランニングシャツになる子どもたちが多くいます。これからも水分補給をしっかりしながら、思い切り体を動かしています。
また、個人懇談にお越しいただき、ありがとうございました。これを機に、より一層お子様のより良い成長のため働きかけられるようにして参りたいと思っております。気になることや、ご相談がありましたら今後もお気軽にお声掛けください。
さて最近、本を探している際に「自律」という言葉が目にとまりました。さくら学園では創立以来、自主・自律性を育むことを目標に掲げているからです。その本は「自律する子の育て方」という工藤勇一さんと青砥瑞人さん共著の本です。
その本を読むと自律の大切さを一層感じるようになりました。何より、この本の特徴は中学校の元校長をされていた教育者と神経科学の専門家という2側面から書かれているので、神経科学をエビデンスにしながら教育を捉えることができます。この本では自律のためのキーワードとして「心理的安全性」と「メタ認知能力」が挙げられていました。
まず「心理的安全性」ですが文字通り心理的に安全な状態という意味の言葉です。人は心理的安全状態にあると、前頭前皮質が活発に動きやすいことが分かっています。そのため個々の能力を引き出しやすくなります。逆に心理的危険状になるとミスを連発したり集中できなくなったり、普段ではしない不適切な行動をしてしまう可能性が高くなり、感情のコントロールをしにくくなります。また激しく怒られるほど子どもの頭に叱られた言葉は残りにくく、怒られた記憶のみが残ります。子どもが問題行動を起こした際には、感情的に怒るのではなく、何をやめどうしてほしいのか落ち着いて伝えることで子どもに伝わります。
次に「メタ認知能力」ですが、自分を客観的に捉えるという意味だと私は思っていました。しかし、青砥さんは客観という言葉でなく俯瞰という言葉を選ばれ、自己を俯瞰的に捉え、自己について学ぶ機能と定義されています。客観という言葉は他人のように見るということで、俯瞰とは複数の面から自分を見ることだそうです。毎日取り組んでいる絵日記もメタ認知能力を鍛えることに繋がるそうです。また、自分がうつっている写真や動画などの記録から以前の自分と今の自分の変化を知ることも、いい手助けになります。
6月はこの「心理的安全性」と「メタ認知能力」を時々思い出し、子どもたちに働きかけてみてはいかがでしょうか。
園長 尾曽越 桃子