さくら学園の裏山から園庭に落ち葉が飛んでくる季節を迎えました。子どもたちは、近くの曹源寺や石高神社へお散歩する度に、色とりどりの落ち葉や団栗を拾って楽しく過ごしています。
曹源寺では「禅と工芸」という展示が開催され、全クラスの子どもたちが漆の工芸品に直接触れることができました。昔はお正月やお祝い事では漆器を使っていましたが、今ではなかなか使うことが少ないものになってきました。漆は、酸・アルカリ・アルコールにも強く、耐久、耐水、断熱、防腐性が非常に高く、今も漆に勝る合成塗料は開発されていないそうです。これからも、子どもたちが日本の伝統を知る機会を作っていきたいと思います。
先日、無事に創立記念演奏会を開催することが出来ました。今年は新型コロナウイルスの影響で、開催が難しくなるかもしれないと思い、ゲストをお迎えするのではなく、梅田と私で連弾をすることにしました。演奏する曲は、子どもたちが普段から触れている曲にしました。曲を弾き終わる度に、どのタイミングで流れている曲なのかクイズをしましたが、「朝礼の前に走る時の曲!」などとすぐに当てることができました。下のクラスの子どもたちも、集中して演奏を聞くことが出来、音楽に触れる機会を作って良かったと思いました。
上記の2点を通して、先月のお便りの「はみがきよし」の②「見る」④「聴く」を実践することができました。この時期に、伝統工芸を見たり連弾のコンサートを聴いたりすることで、原体験(思想が固まる前の経験で、以後の思想形成に大きな影響を与えたもの)になる可能性もあります。
そして、①「話す」③「書く」について、ちょうど最近、「言語化力」や「ゼロ秒思考」などといった、言葉に関する書籍に触れる機会がありました。子どもたちにとって何が必要なのかと考えたり、調べたりする中で、言葉にすることと、文章にすることの重要性を年々強く感じています。
子どもたちのトラブルも、言葉にする努力をすれば、お互いが何をしたかったのか、何が嫌だったのか分かれば、感情がヒートアップし過ぎません。言わずに感情や想いを溜め込んでしまうと、爆発するか無気力になってしまいます。この習慣がついたまま大人になると、メンタルヘルス不調をきたしやすくなります。自分が何を考えているのかを言葉や文章にすることで、自分の考えを更に深めたり、人間関係を円滑にしたり、目標や目的に向かう力が強くなったりします。そのために、子どもたちと接する時、「何がしたいのか」「どんな気持ちになったのか」を聞いたり、絵日記を書くときに、出来事だけでなく、その時の気持ちを書くようにアドバイスしてみましょう。楽しかった・嬉しかっただけではなく、びっくりした・おもしろかった・きれいだったなどの様々な形容詞を教えたり、今度はこうしてみたいなどの、願望や希望などを入れるのもいいと思います。引き続き「はみがきよし」を意識して生活できることを願っています。
最後に、さくら会の皆様から創立記念のお祝いに、ご寄付いただきありがとうございました。園舎建設の費用として大切に使わせていただきたいと思います。心からお礼申し上げます。
園長 尾曽越桃子