今年の11月は風が吹く日が少なく暖かい晴れの日が多かったので、お昼休みに鬼ごっこをしていると、ランニングシャツ1枚になっている子どもたちもいます。しかし朝夕の気温は下がってきているので、さくら学園の周辺の木々も少しずつ色が変わり、子どもたちは落ち葉を拾ったりお散歩で紅葉を楽しんだりしています。
5日には、フルートの堺さんによる創立記念演奏会を無事終えました。フルートだけでなくピッコロの演奏もしてくださり、曲目もさくら学園に馴染みのあるものの演奏だったので、楽しいコンサートになりました。毎年、楽器の生の演奏を聴く機会を作っていますが、CDなどの音源で聴くのと違い、楽器の音が出るところを直接見聴きすることでワクワクしたり、素敵だなと心が動く瞬間を味わうことは子どもたちの感性を育てる機会になっていると思います。ご観覧くださった保護者の皆様、ありがとうございました。また、創立記念にあたり、さくら会の皆様からご寄付を頂きました。皆様の温かいお心遣いを心より感謝いたします。
9日からは中学生の職場体験がありました。3人のお姉さんが3日間来てくれましたが、子どもたちはあっという間にお姉さんと仲良くなり、毎日楽しそうに過ごしていました。最後のお別れでは涙ぐんでいる人もいるくらい、お姉さんたちのことが大好きになっていました。お姉さんたちも、3日だけでなくまだ来たいし、別れが辛いと言っていました。コロナの感染が拡大してから職場体験がストップしていたので、こういった直接的な温かい交流が園児にも中学生にも忘れられない経験になることを久々に感じました。
こういった様子を見ながら、脳外科医の林成之先生の「同期発火」という言葉を思い出しました。同期発火とは脳内に入った情報が「好き/嫌い」「興味がある/ない」などの感情のレッテルを貼り、同時に大脳神経細胞全体に情報がフィードバックされ起こる現象です。このとき同期発火している人と一緒にいる人も同期発火します。人の脳と脳をつなぐ回路はありませんが、気持ちが通じ合うとは、不思議ですよね。「同期発火」は「好き」「興味がある」「感動した」といったプラスの感情を持つほど強く起こります。そして同期発火が強いほど、相手にも気持ちが伝わりやすくなります。
中学生のお姉さんたちを子どもたちが大好きになり、お姉さんたちも子どもたちを大好きになったのも同期発火が伝わったのだと思います。また、フルートのコンサートでも楽しんだり感動したりするのも、そして毎日の園生活、お家での生活すべてに、この作用が起こっていると思います。このようにプラスの感情を強く持ちながら人と接していけるよう2022年最後の月を過ごしていきましょう。
園長 尾曽越 桃子